タンポポ

タンポポ [DVD]

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役所広司が若い。渡辺謙が若い。
色んな人を巻き込みながら、ラーメン屋再生のコンサルティングをする恋ありほのぼのありの物語です。基本的には。

それだけで終わってたらつまんないわけですが、この映画の特徴は本筋とは全く関係ないサイドストーリーがちりばめられている点です。厳密に言えば全く関係なかったり、少し交錯してたり程度はありますが。
この手法によって、映画的に見えるストーリーは日常の1コマに過ぎないことを表現しているのでは。

僕がこうしてキーボード叩いてる瞬間にも、別の場所では「たんぽぽ」みたいなサクセスストーリーやら不倫してるオヤジカップルが背徳心を感じつつも年甲斐もなくドキドキしていたりするんですね。あっちこっちそっちこっちで。

映画を「構築」したいんじゃなくて、日常を「再現」したかったんですね。
カメラで言うと本城直季みたいに箱庭を「構築」したいんじゃなくて、都築響一みたいに日常を「切り取り」たかったんではないでしょうか。

伊丹十三が取り上げるテーマはそういうの多いですね。
彼の死には諸説あると聞きました。「マルサの女」とか、すくい取った「日常」には毒が入っていたわけですね…。(だからこそ取り上げた?)